コラム ーお迎えー

お迎え
人が亡くなるという出来事は、日常の時間をそっと止めてしまいます。
その知らせを受け取った瞬間、胸の奥にぽつんと穴が開いたような、あるいは現実感が遠のくような、不思議な静けさが訪れることがあります。
そんな中で「お迎えに来てください」と連絡を受けると、心はまだ追いついていないのに、身体だけが動き出さなければならない。そのギャップに戸惑うのは、とても自然なことです。
お迎えに向かう道のりは、決して特別な儀式ではありません。
けれど、そこには確かに“最後の時間に寄り添う”という意味があります。病院や施設へ向かう前に、深く息を吸って、ひとつだけ自分に優しくしてみる。それだけで、心の輪郭が少し戻ってきます。
病院に着いたら、スタッフの方が静かに案内してくれます。必要な手続きは、思っているほど複雑ではありません。
名前を確認し、これからの流れを聞く。その間、あなたの心はまだ揺れていても大丈夫です。
人は、悲しみの中で完璧に振る舞う必要なんてありません。故人と対面する時間は、言葉を探さなくていい瞬間です。
「ありがとう」でも、「おつかれさま」でも、
あるいは何も言えなくても、すべてがその人への想いの形です。
静かにそばに立つだけで、十分に“お迎え”になっています。
その後のこと――葬儀社の手配や移動の段取り――は、私共にお任せください。
あなたがすべてを背負う必要はありません。
むしろ、誰かに頼ることは、悲しみを抱えた心を守る大切な方法です。
もし、あなたが今まさにその場面に向き合っているのなら、
その重さを一人で抱え込まなくていい。
必要なら、心の整理の仕方や次の流れも、そっと一緒に私共に前に進んでいきましょう。

